「不動産投資とREIT(リート)は、どんな違いがあるんだろう?」
株式投資を既にやっている人や不動産投資に興味がある人などは、REITという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「REITなんて初耳で、何が何だか全く分からない。」
そんな方に向けて、まずはざっくりとした説明でREITのイメージをつかんで頂ければと思います。
REITとは、超ざっくり言ってしまえば、不動産投資が気軽にできる金融商品と言ってしまえば良いでしょう。
不動産投資は、物件の購入や管理、売却にいろいろ手間がかかります。一方、REITならば証券口座を開設していれば、ワンクリックで購入、売却でき、しかも少額で複数の物件に分散投資できるという良さがあります。
そんなREITですが、不動産投資と比較してどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
さらに、不動産投資に向いている人、REITを購入した方が良い人はどんな人なのか、不動産投資とREITを比較して解説していきます。
本記事を読んで、不動産投資とREIT、あなたはどちらに向いているか、理解を深められれば幸いです。
僕は金融資産5~10%の金額のREITを保有しています!
REITから得られる高い分配金はとても魅力的で、僕の副収入の一部として生活にゆとりを与えてくれます。
本記事の内容
- REITの仕組み
- REITのメリット & デメリット
- REIT vs 不動産投資、それぞれに向いている人の特徴
✔ 本記事を書いた人
REITとは?その仕組みを理解しよう!
株式投資を既にしている方ならば、REITという言葉はよく聞くと思います。一方で、株も不動産投資も全く知らないという人にとっては、REITは初耳ではないでしょうか。
まずは、「REITとは何か?」について、理解を深めていきましょう!
REITの良い面も悪い面もよく知った上で、不動産投資と比較してどちらがあなたに向いた投資であるか、検討してみましょう。
REITとは?
REITとは、Real Estate Investment Trustの略で、日本語に訳すと、不動産投資信託という意味になります。
そもそも投資信託とは、投資法人などの投資の専門家が投資家から資金を集めて運用し、その利益を分配する仕組みです。この仕組みを不動産に適応しているのがREITであり、アメリカで誕生しました。
REITとは、不動産投資法人が投資家から資金を集め、その資金を運用して複数の賃貸不動産に投資しています。
ここでいう賃貸不動産とは、マンションやオフィスビル、商業施設といった物件で、投資家はREITを購入することで不動産投資を行い、投資対象物件で得られる賃貸収入が投資家へ分配金として支払われます。
REITの市場
アメリカで誕生したREITですが、日本のREIT市場のことを「J-REIT」と読んでいます。これは日本で有価証券以外へ投資することができるようにした「投資信託及び投資法人に関する法律」が改正されたことにより、2001年9月から可能となりました。
現在の日本REIT市場は世界第二位ですが、第一位のアメリカの10分の1程度に過ぎず、まだまだ成長の余地があるとされています。
REITの分類
REITには契約型の「投資信託」と会社型の「投資信託法人」の2種類に分けられます。
投資信託とは、証券取引所で上場されていないREITを扱っており、一般の投資信託と同じ仕組みになっています。
投資信託法人は、上場REITを扱っており、証券取引所で売買できます。基本的にREITと言う場合は、こちらの投資信託法人のことを差しています。
REITの種類
REITは投資家から集めた資金を複数の不動産に投資する仕組みにより成り立っています。投資物件にも様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
それでは、主なREITの種類をご紹介します。
REITの種類
- アパート、マンション
- オフィスビル
- 商業施設(店舗、モールなど)
- 宿泊施設(ホテル、旅館など)
- 福祉施設(シニア向け住宅、グループホームなど)
- 物流施設
1つに特化したものから、複数に分散投資するものまで様々なものがあります。REITの種類も動向を見てみましょう。
REITのメリット
不動産投資と比べて、REITにはどのようなメリットがあるのでしょうか?REITの魅力を解説していきます!
REITのメリット6つ
- 少額から始められる。
- 利益が安定している。
- 大家の苦労がない。
- 換金性が高い。
- 投資の専門家に任せられる。
- 分散して投資できる。
メリット①:少額から始められる。
不動産投資を始めるには、物件を購入する必要があるため、100万円程度の資金が必要になります。
しかし、REITなら1万円程あれば購入ができ、個人で不動産を所有する不動産投資より圧倒的に始めやすいというメリットがあります。
メリット②:利益が安定している。
REITの利益は、信託会社から得られる分配金とREIT自体の価格変動による売却差益の2種類です。
REITの価格変動は、株式市場と連動する場合が多く、なかなか予測が難しいのが正直なところです。一方、分配金は各REITで所有している物件の家賃収入や売却益から分配されるため、比較的安定しています。
また、不動産投資法人は利益の90%超を分配金にすると法人税が免除になるため、利益のほとんどを分配金にまわしてくれます。
従って、株の個別銘柄に比べると、REITは比較的高い利回りの銘柄が多い傾向です。
メリット③:大家の苦労がない。
不動産投資では、自分が大家となり不動産の運営をしなければなりません。一方、REITでは物件の管理、空室リスク、管理費用など、不動産投資を始めた人が直面する様々な課題について、ほとんど考える必要がありません。
メリット④:換金性が高い。
不動産投資では、自分で不動産会社とやり取りをして、売買の手続きをしなければなりません。一方、REITは証券の取引なので、手続きが簡単というか、ワンクリックですぐ売却できます。
このように、証券取引所でワンクリックで瞬時に取引でき、非常に換金性が高い点もREITのメリットです。
メリット⑤:投資の専門家に任せられる。
不動産投資は物件の選定から購入手続き、その後の管理まで自分でやらなければなりません。一方、REITは運用会社がそれらを行ってくれます。
どんな物件を選んでよいか分からない初心者にとっては、運用会社が物件の選定から管理まで行ってくれるREITは非常にありがたいです。また、運用報告も定期的にしてくれるので、それらに目を通すだけでよく、働きながら気軽に不動産投資を行えます。
メリット⑥:分散して投資できる。
不動産投資はよほど資金力がない限り、複数の物件を所有するのは難しいです。一方、REITでは不動産投資法人が既に複数の不動産を保有しており、それら全体に少額で分散投資できます。
万が一の場合でも、不動産投資法人が保有する物件が全滅することはまれであり、分散投資のメリットを享受し、長期にわたり分配金が得られる可能性が高いと言えるでしょう。
REITのデメリット
ここまでメリットを説明してきましたが、メリットだけを見ていると、「不動産投資よりREITの方が良さそうだなぁ~」と思えてしまいますね。
ここからはデメリットを解説していきます。デメリットについても、しっかり理解してから、あなたに合った資産運用方法は、不動産投資なのか、REITなのか判断しましょう。
REITのデメリット5つ
- 分配金が約束されていない。
- 上場廃止リスクがある。
- 金利が上がると不利になる。
- 法律が改正される可能性がある。
- 配当控除が受けられない。
デメリット①:分配金が約束されていない。
不動産投資の中でもREITは投資信託であるので、基本的には決算期に分配金があります。 しかし、不動産であるため、例えば物件のある地域で地震や大雨などの災害が発生したり、空室が増えて収益が減ったりすると、分配金が減ります。
不動産投資信託に限らず、投資信託すべてに言えることですが、1口当たりの分配金が突然減額、最悪の場合なしとされることはあるため、REIT購入前に必ず報告書に目を通し、分配金の変化をチェックしておきましょう。
最近では、コロナショックでホテル関連のREITの分配金が大幅減額されました。それによりREIT自体の価格も暴落し、ダブルパンチを食らった投資家も多くいるのではないかと思います。
REITは株式投資に近い面もあるので、しっかりリスク管理ができ、余剰資金で行うことを徹底するのをおすすめします。
デメリット②:上場廃止リスクがある。
REITは、証券取引所に上場しているので、当然ながら経営悪化などで上場廃止のリスクはあります。 また、投資法人の倒産といったリスクもあることは知っておきましょう。
ただし、倒産しても不動産の価値はマイナスにはならないため、一般的に株式よりは低リスクです。
デメリット③:金利が上がると不利になる。
REITは投資家からだけでなく銀行からもお金を借りて不動産売買をしています。つまり、金利が上がれば資金調達にお金がかかり、分配金などに影響が出ます。
また、金利が上がることで国債が売れ、REITや株式に資金がまわってこなくなるため、不動産価格が下落する可能性もあります。
ただし、一般的に金利上昇により株価は下落しやすくなるため、REIT特有のデメリットではなく、株式市場全体にとってのデメリットになります。
REITに限らず、不動産投資を行う場合でも、金利動向はよくチェックしておいた方が良いでしょう。
デメリット④:法律が改正される可能性がある。
2018年に税制改正があったように、不動産投資や税金の法律は日々変更していきます。
法律が変われば、REITの運用や市場にも少なからず影響は出ますので、法律の改正によってREIT市場はどう変わるのかを見極める必要があります。
REITに限らず、法律が変われば株式市場や不動産市場にも影響があるため、REIT特有のデメリットにはなりませんが、法律改正については、投資家としてアンテナを張っておくのが良いでしょう。
デメリット⑤:配当控除が受けられない。
REITはメリットの項目で書いた通り、不動投資会社が利益の90%以上を分配することで法人税が免除されます。この分、REITによって得た分配金には税金がかかります。
税金がかかる点は株の配当金と同じですが、配当金と異なりREITの分配金には、配当控除を受けることができないという点です。
配当控除は、配当金にかかる税金が安くなる制度で、必ずしも全員が配当控除を受ければお得になるわけではないですが(詳細は複雑であるため省略します)、REITの分配金で配当控除が受けられないのは、デメリットの一つと考えて良いでしょう。
なお、不動産投資の場合も、基本的には利益に対して税金がかかりますので、REITだけが税金が高くつくわけではありません。ただし、不動産投資は節税の余地がかなり多く、この点はREITにはない大きなメリットです。
不動産投資とREITを徹底比較
ここまで、REITの基本知識からメリット、デメリットについて解説してきました。REITは、不動産投資の一種であることは理解して頂けたと思います。
では、不動産投資とREITは一体どのような違いがあるのでしょうか?先ほど解説したREITのメリット、デメリットを踏まえ、不動産投資とREITを比較していきましょう。
不動産投資は、大家になること
不動産投資は、自分で物件を購入し所有します。そして、物件を人に貸して家賃収入を得ることで収益を上げます。一方で、REITは投資法人に資金を預け、不動産投資のプロが選んだものに投資をしてその分配金によって収益を得ます。
このように、不動産投資とREITは根本的に不動産に対する向き合い方が違います。
不動産投資には、どの物件を購入するかなど不動産の目利きや、物件の空室をどうやってなくすかといった運営手腕も必要になってきます。すなわち、経営者目線で不動産に向き合わなければならないというわけです。
仮に、空室リスクの高い物件を買ってしまったり、購入後に空室だらけになり家賃収入が減ってしまったりしたら、最悪の場合破産するリスクがあります。そういった点で、不動産投資の方がREITに比べ、始めるのも成功し続けるのもハードルが高いでしょう。
不動産投資は、必要だが面倒な手続きややり取りを全て自分で行わなければならないため、時間も手間も費用もかかります。
一方で、不動産のオーナーとなり、不動産経営に携われるという醍醐味が味わえ、さらに、成功すればREIT以上に収益が得られることは非常に魅力的な面でしょう。
REITは、大家ではなく投資家である
REITは不動産に特化した投資信託であり、投資家はREITに投資するだけであって、不動産を経営することはありません。
不動産経営に携わらないという点が、不動産投資とREITの一番大きな違いです。
REITは基本的には株式投資と同じで、投資する先がREITという不動産であるというだけです。
REITへの投資は、不動産を所有することもなければ、不動産運営も売買もしません。従って、経営者としての手腕を問われることも、物件に対するリスクを負うこともありません。
REITは、不動産投資に比べれば気軽に始められる一方、不動産投資ほど利益を得られる可能性も低いでしょう。
不動産投資に向いている人、REITに向いている人
前のパートでは、不動産投資とREITの違いについて解説してきました。投資対象が不動産という点で同じですが、その中身は大きな違いがあることを理解できたと思います。
続いて、不動産投資に向いている人、REITに向いている人について、それぞれの特徴を説明していきます。
不動産投資に向いている人
不動産投資に向いている人
- 少ない資金で収益性を上げ、資産を増やしたい人
- 不動産のノウハウを駆使して運用したい人
- 担保価値を利用して不動産を増やしたい人
- 自分でリスクコントロールしたい人
- 長期的に収益を上げ、安定した収入を得たい人
不動産投資は、自分の目でしっかり確かめた不動産に投資し、自分で運営していきます。 立地や環境整備、設備投資や空室管理といった大家の仕事が伴いますが、不動産の経営者となって自分の裁量で不動産運営を行うことに楽しさを見出す不動産投資家も多いです。
また、不動産投資特有の大きなメリットとして、ローンを完済した物件は担保能力が高いため、次の不動産投資のハードルを下げてくれることも挙げられます。
不動産投資は、物件を保有することで長期間にわたる収益が得られるため、単なる投資というよりは経営者になるといったモチベーションを持っている人が向いているでしょう。
REITに向いている人
REITに向いている人
- 手軽にリスクの少ない投資をしたい人
- 大きな資金を準備できない人
- 不動産を所有したいわけではない人
- 換金性の高い投資がしたい人
ここまで説明してきた通り、REITは投資法人が運用する不動産に投資し、分配金を得るというものです。
REITは、物件管理の必要はなく、空室状況や不動産価値の下落などに影響されにくいです。また、REITは専門家によるリスク対策が行われていることが一般的であり、低リスクで高い利回りが期待できます。
不動産投資のように物件の購入資金も必要なく、1万円程度から投資を始められるという手軽さも魅力です。
また、不動産を所有しないため管理費や維持費などの諸費用もかからず、不動産運営の手間もかからない点に魅力を感じる人もいると思います。
さらに、REITは証券取引所で取引されているため、ネット証券で売買している人はワンクリックですぐに売却でき現金化できます。
従って、REITは、不動産を所有するほどの大きなリスクを取りたくない人に向いていると思います。
まとめ:不動産投資かREITか、向いている方を始めよう!
不動産投資とREITは、投資対象が不動産という共通点はありますが、全く異なるものであることが理解できたでしょうか。
不動産に投資していても、それぞれでお金のかけ方も、収益を得る方法も全く違いましたね。
不動産のオーナーとなり、運営していきたい方は不動産投資を始めることをおすすめします。一方、少ない資金でリスクの低い投資がしたい方は、REITを検討してみると良いでしょう。
もし、あなたがお金の不安がない将来を迎えたいと考えているならば、この機会に不動産投資、あるいはREITの購入を始めてみてはいかがでしょうか。
今日からの小さな積み重ねが、将来の大きな成果につながると思いますよ!
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