不動産投資を成功に導くためには、やるべきことがたくさんあります。中でも収益を生み出す不動産の管理は、とても重要な要素の1つです。
多くの方は、不動産投資は良い物件を購入さえできれば、大体成功するだろうと考えがちですが、大きな思い違いをしています。不動産は購入後に適切に管理できるかどうかで、収益に大きな差が生まれます。
とはいえ、不動産管理がいかに大切か理解できたとしても、初心者がどうやって適切に不動産を管理するのか分かりませんよね。
そこで頼りになるのが不動産管理会社です。不動産投資家の多くは、管理会社に不動産管理を任せることで効率的に不動産運営を行っています。
今回は、不動産投資における管理会社を利用するメリットや管理会社の仕組み、一生付き合っていける管理会社の見分け方について解説します。
本記事の内容
- 不動産管理会社の業務内容
- 不動産管理会社を活用するメリット
- 不動産管理会社選びに重要な3つのポイント
✔ 本記事を書いた人
不動産投資における管理会社とは?
不動産管理会社は、一般的には「不動産会社」という大きなカテゴリーの中に含まれます。なお、不動産会社には、管理会社の他に仲介会社があります。仲介会社は、さらに、売買を専門にする会社と賃貸を中心とする会社に分かれます。
ここでは、不動産管理会社について不動産仲介会社と比較しながら解説していきます。
不動産管理会社
不動産投資における管理会社は、物件の管理や資産価値の維持目的に様々な業務を行っている会社です。物件の管理と維持に関する業務内容は、「賃貸管理」と「建物管理」に分類できます。
例えば、クレーム対応や家賃の管理は「賃貸管理」に含まれ、清掃や設備の点検、メンテナンス等は「建物管理」に含まれます。ただし、管理会社の業務内容は「管理委託契約」の内容に帰属しますので、管理会社によってカバーする業務は異なります。
例えば、管理委託契約に「入居者対応は行わない」といった内容がある場合、その管理会社は入居者からのクレーム対応などは受け付けないということです。
このように、管理会社によって業務内容は異なりますが、一般的に以下のような内容が管理業務には含まれます。
賃貸管理
- 入金管理・送金管理
- 家賃滞納の対応
- 家賃明細の作成
- クレーム対応
- 緊急トラブル対応
- リフォームの発注
- 退去時の立会い etc.
建物管理
- 日常点検
- エレベーター保守メンテナンス
- 水槽点検
- 消防点検
- 植栽管理
- 修繕工事計画の立案・実施 etc.
不動産仲介会社
仲介会社とは、入居者を集めて契約を結ぶまでの一連の業務を請け負う会社です。具体的には、以下のような業務内容が挙げられます。
仲介会社の業務内容
- 物件の査定
- 物件の宣伝(自社サイト、賃貸ポータルサイトへの物件情報アップ等)
- 物件紹介と下見の日程調整、現地の案内
- 契約業務(契約資料作成、決済対応等)
管理会社と仲介会社を比較してみると、仲介会社が物件の紹介業務がメインであるのに対して、管理会社は物件購入後の物件維持がメイン業務であることが分かりますね。
ただし、管理会社が仲介業務を行うこともありますし、管理業務も行っている仲介会社もあります。業務内容は、個々のケースにより異なってきますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
不動産投資における管理会社の仕事とは?
先ほど解説した通り、不動産投資に関して、管理会社が行う業務は「賃貸管理」と「建物管理」の2つに大別できます。
これらをさらに細かく分解すると、主に以下の5つの業務に分類できます。
管理会社の主な業務内容
- 家賃管理
- トラブル・クレーム対応
- 契約管理
- 設備点検
- 共有スペースの清掃
それぞれについて詳しく解説していきます!
1. 家賃管理
家賃管理業務は、主に家賃の振り込み確認やオーナーへの送金、家賃明細書の作成を行う業務です。また、入居者からの入金が一定期間確認できない場合は、家賃滞納として対応を進めることもあります。
家賃滞納があった場合の管理会社の対応は、以下の手順で行われます。
- 手紙や電話、メールなどによるい支払いの通知
- 訪問
- 契約の解除
- 請求の訴訟
- 強制執行
なお、管理会社だけで対応できない場合、弁護士などの専門家を通じて解決を図ることもあります。
2. トラブル・クレーム対応
管理会社にはさまざまな内容のクレームやトラブルの問い合わせがきます。そういった各種問い合わせに対応する業務を行うのも、不動産管理会社の業務の1つです。
不動産に関わるトラブル・クレームとしては、以下のようなものがあります。
不動産のトラブル・クレーム例
- 設備の故障や不調
- 騒音や臭いなど
- 入居者同士の喧嘩や揉め事
- 退去時の敷金返還
- 鍵の紛失
3. 契約管理
管理会社は契約の更新や退去の手続きを以下の手順で行います。
契約更新や退去手続きの手順
- 入居者の更新意思を確認する。
- 入居者を募集する。
1. 入居者の更新意思を確認する。
契約が終了する6ヶ月前~2ヶ月前の間に書類を送付し、入居者に更新意思の確認を行います。
更新の場合は、更新に必要な書類等を準備し、更新料の受取を行います。また、保険契約の更新が必要な場合は、そのための手続きも行います。
退去の場合は、退去時の立ち会いの際に室内の現状把握を行い、修繕などの原状回復方針を決めます。同時に、借主との費用負担割合の調整、クリーニングなどの修繕作業の手配を進めます。
2. 入居者を募集する。
退去する場合は、新たな入居者を募集します。なお、入居者募集は仲介会社がメインで行う場合が多いです。
そのため、仲介会社とのネットワークが充実している管理会社ほど早く空室を解消できると言えるでしょう。
4. 設備の点検
不動産は「法定点検」という点検業務が義務化されており、具体的には以下の3つを行います。
法定点検
- 消防設備の点検
- 貯水槽の点検
- エレベーターの点検
消防設備の点検
消防設備は、以下の5つに分類されます。
- 消火設備
- 警報設備
- 避難設備
- 消防防水
- 消火活動上必要な設備
消防設備の点検では、上記5つすべての点検を行い、問題なく利用できる旨を管轄の消防署長へ報告します。
貯水槽の点検
貯水槽の点検は、6ヶ月~1年に1回、運転に異常がないか、腐食や漏れがないかなどの点検が必要です。さらに、水質検査も6ヶ月に1回の頻度で行う必要があります。
貯水槽は点検以外に清掃も義務化されており、年1回実施する必要があります。違反すると100万円以下の罰金を科されるため、忘れないようにしましょう。
エレベーターの点検
エレベーターの点検は、エレベーターの故障や不備等の点検を行います。エレベーターの点検は、法定点検を年1回実施することが義務付けられています。
また、上記の法定点検とは別に定期点検も実施する業者もいます。頻度としては、毎月1回や3ヶ月1回など業者によって異なります。
5. 共有スペースの清掃
清掃業務には、廊下の清掃や雑草の処理、電球の交換などが含まれます。
実施頻度は管理会社によって異なりますが、快適な住環境を整えるためににも、週1回程度は清掃を実施ているところが多いでしょう。
逆に、住環境が著しく損ねるほど清掃頻度が低い管理会社は要注意です。清掃頻度について事前に確認しておくことをおすすめします。
不動産投資の物件管理は管理会社に依頼すべきか?
不動産投資は物件選びが重要視されがちです。もちろん、優良物件を購入できれば、それだけ不動産投資の成功確率を高めることができますが、購入後の不動産管理が杜撰であると、長期間の収益は望めません。
すなわち、物件選ぶと同じくらい不動産購入後の管理方法は重要です。管理方法によっては、物件の収益状況は大きく変わっていきます。
不動産の管理を自分で行っている不動産投資家もいる一方、不動産管理会社にお願いする人も多くいます。ここでは、不動産を自分で管理するのと、管理会社に依頼するのと、どちらが良いかについて解説していきます。
不動産管理会社を利用するメリット
不動産の管理方法には、「自主管理」と「管理会社利用」の2つがあります。
自主管理とは、集金管理や入居者の募集、クレーム対応などをすべて投資家自身が行う管理形態です。自主管理のメリットは、管理会社に任せた場合に支払う管理費用を節約できることです。
自主管理することで、月額家賃の2~5%は支払わなければならない管理費用と更新料を自分の手元に残すことができます。
これだけ聞くと、自主管理の方が節約できて良さそうな印象ですが、一度「あなたが不動産投資をする目的」を考えて、管理方法を選択することをおすすめします。
あなたが不動産投資を行う目的が、「投資規模の拡大」や「給料以外の副収入確保」であるならば、自己管理はあまりおすすめできません。なぜなら、不動産の管理業務は、ここまで詳しく述べてきたように様々な業務内容があり、相当な覚悟がないと非常に大変だからです。
不動産の運営というのは、自動的に家賃が振り込まれて、たまに更新手続きやリフォームの手配をするだけではありません。
入居者からの問い合わせにも1つずつ丁寧に対応する必要がありますし、清掃もこまめに行わないと入居者の満足度が落ちてしまし、退去に繋がります。
こういった点を踏まえると、「管理会社に管理料を払い、管理や清掃などを外注しておくことは、費用対効果が高い」とも言えます。
ただし、賃貸付けに弱い管理会社を選んでしまうと、空室が全然埋まらない状況に陥ってしまい不動産投資は失敗してしまいます。不動産投資を成功に導くためにも、信頼ある不動産管理会社を選ぶことが、とても大切です。
不動産投資における管理会社選びのポイント3選
不動産管理会社を選ぶ際は、ここまで解説してきた業務内容を確実にこなせる会社を選ぶことが大切です。そして、それらの業務内容をこなすことは当然として、プラスアルファとして、確認すべきポイントがあります。
不動産管理会社選びには、以下の3つの強み持っているかで見極めることをおすすめします。
管理会社を選ぶポイント
- 賃貸付けに強いか
- 滞納家賃の回収能力が高いか
- トラブル対応力に優れているか
賃貸付けに強いか
管理会社を選ぶなら集客力があり、賃貸付けに強い会社ほど良いです。判断する指標として、入居率は1つの目安になるでしょう。
早期の空室解消に自信がある不動産管理会社ほど、ホームページや会社案内で入居率を表示していますので、候補となる管理会社を見つけたら、入居率を確認してみましょう。
ちなみに、入居率の計算式は次のものが一般的です。
入居率の計算式
入居率= 契約済戸数/管理戸数×100 =(1-空室/管理戸数)×100
ただし、管理会社によっては、引っ越しシーズンのピークである3月の入居率だけを表示していたり、自社ブランドのマンションに限った入居率だったりする場合があります。また、空室が1ヶ月経過してはじめて「空室」としてカウントするなど、空室の定義にも幅があります。
不動産投資において、入居者の獲得は最重要事項です!入居率の出し方や空室のカウント方法などはきちんと確認し、確実に賃貸付けに強い管理会社を選ぶようにしましょう。
滞納家賃の回収能力が高いか
家賃滞納は、空室と同様、家賃収入が得られなくなる要因の一つです。そのため、不動産管理会社選びでは、滞納された家賃をすばやく回収できる力も重要になってきます。
判断材料としては、2ヶ月以上の滞納件数が目安になります。なぜなら、1ヶ月以内の滞納であれば入金を忘れているケースもありますが、2ヶ月連続での滞納は長期化する可能性が高いからです。
「公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会の日管協短観」によると、2020年下期では月末での2ヶ月以上家賃を滞納している割合は、全国で1%程度であったというデータがあります。
滞納率を確認するときは、この数値を目安にして、管理会社の滞納家賃の回収能力を見極めてみると良いでしょう。
トラブル対応力に優れているか
不動産投資では、所有不動産の漏水や騒音などのトラブルが発生することも少なくありません。それらのトラブルを解決するのに時間がかかると、入居者が不満を感じ、退去につながります。
入居者の退去が頻発してしまうと、空室が発生してしまい、あなたの不動産投資が失敗してしまう可能性も高まるため、注意が必要です。
従って、トラブル対応力の優れた不動産投資会社を選ぶのも、あなたの不動産投資の成功確率を高めるためには重要なポイントと言えます。
入居者専用コールセンターの設置や管理スタッフの人数などを確認しておき、トラブル対応力がどの程度であるか判断すると良いでしょう。
不動産管理会社との契約時に注意するポイント
実際に、「管理を依頼したい」と思う不動産管理会社が見つかったら、契約内容をしっかりと確認してお互いの認識に相違がないようにしましょう。せっかく良い管理会社を見つけても契約内容を勘違いしていると、後々トラブルになったり、投資効率が低下したりします。
管理会社と契約する際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。
契約時の注意ポイント
- 業務範囲の確認
- 解約条件の確認
- 保証内容の確認
1. 業務範囲の確認
先述の通り、管理会社の業務内容は「管理委託契約」の内容によって変わってきます。そのため、管理会社と契約を結ぶ際は、委託できる業務の範囲を確認しましょう。
また、費用が想定よりも高くなることがあるので、詳細な費用も必ず確認しましょう。
具体的には、「入居者募集の際は募集手数料が別途必要か」「更新時の手数料はいくらか」など、毎月の手数料以外にどのような場面で費用が発生するのかもしっかり確認することをおすすめします。
2. 解約条件の確認
管理会社と契約する場合は、「違約金」にも注意が必要です。例えば、2年後の契約を中途解約すると半年分の家賃を違約金として支払わなければならない等のケースもあります。
中途解約の条項が契約書にない場合もあるので、注意しましょう。解約条件は必ず確認し、書面で残しておくことをおすすめします。
3. 保証内容の確認
管理会社によっては、「家賃保証」や「滞納保証」を提供している会社もあります。
しかし、「空室や滞納発生後すぐに保証が開始されるのかと思っていたら、保証のスタートは3ヶ月後からだった。」「保証金額が家賃の全額ではなかった。」といったケースは良くある話です。
もし、家賃保証や滞納保証といったサービスが含まれているのなら、この保証がいつから始まるのか等、具体的な内容をしっかり確認しておきましょう。
まとめ:不動産管理会社は慎重に選ぼう!
不動産投資において、不動産管理会社選びは細心の注意を払って行う必要があります。なぜなら、良い物件を購入しても、管理方法が杜撰であれば長期的に収益を得られなくなってしまうからです。
最後にもう一度、不動産管理会社選びのポイントをおさらいして、しっかり理解しておきましょう。
管理会社を選ぶポイント
- 賃貸付けに強いか
- 滞納家賃の回収能力が高いか
- トラブル対応力に優れているか
安心して不動産の管理をお願いできる管理会社を選びさえすれば、物件の選定やキャッシュフローの構築法を考えることに専念することができます。しいては、あなたの不動産投資の成功確率をぐー--んと高めることにつながります。
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