
最近、安定した資産運用ができると人気の不動産投資ですが、中でも、サラリーマンの方々に特に人気なようですね。
その理由として、所得税の節税ができるというものです。
しかし、不動産投資を始めた全ての人が成功できるわけではありません。不動産投資にはリスクやデメリットもあり、失敗している人がいるのも事実です。
そこで今回は、サラリーマンが不動産投資を始める際に押さえておくべきポイントを解説していきたいと思います。
目次
サラリーマンは不動産投資すべき?カモられないために押さえておくべきこと

不動産投資とは、不動産を購入して利益を得ることですが、不動産投資をするサラリーマンは増えています。
とあるアンケート調査によれば、40代の40%以上、サラリーマンの50%以上が不動産投資をしているという結果も出ているほど、人気になりつつあります。ただ、不動産投資で失敗したことがあるという人も40%以上います。
成功すればメリットが大きいですが、実際は不動産投資した人の約半数が失敗しているというのが現実です。
サラリーマン大家はあり?不動産投資で大切なこと
カモにされたというサラリーマンも多い不動産投資は、株式投資や投資信託とは違い、銀行や管理会社、入居者などとのやり取りも必要な投資です。
ですから、「とりあえずお金があるから投資する」という人には、不動産投資はおすすめしません。サラリーマン大家になりたいのなら、まずは不動産が好きで、積極的に情報収集し、リスクを回避するための判断ができることが大前提です。つまり、不動産と関わり続ける覚悟が必要になります。
とはいえ、不動産投資は節税対策になったり、老後生活の支えになったりと、初心者でも魅力に感じるメリットがたくさんあるのも事実です。
そこで、サラリーマンが不動産投資をするメリット・デメリットについて徹底解説します。さらに、いいカモにならないために「最低限これはすべき!」ということも合わせて紹介していきます。
不動産投資の基本の流れ

不動産投資はマンションやアパートなどの不動産に投資して、家賃収入や売却益を得ることです。
不動産投資の一般的な流れでは、自己資金や金融機関から融資を受けて、不動産を購入し、入居者に貸し出して家賃を得たり、価格が上昇した際に売却し、購入価格と売却額の差で利益(売却益)を得たりすることになります。
サラリーマンでも本業に影響なく不動産投資できるか?
株式投資や投資信託は、投資した後は価格を確認するだけでよく、売るのも比較的簡単です。それに比べ、不動産投資の場合、入退去の手続きや入居者の募集、家賃の受け取り、不動産の管理などいろいろな手間がかかるのではないか、と考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、不動産投資で発生する様々な手間や不動産投資で得た収入の管理は、手数料などを支払えば、管理会社や税理士にほとんど委託できるもため、サラリーマンでも十分に運用することはできます。
もちろん、不動産投資となれば、空室リスクや家賃滞納リスク、災害リスクなどがつきものです。これらのリスクを回避する為には、不動産の立地や滞納保証がある管理会社を選び、保険に加入して万が一に備えるなど対策が必要になるでしょう。
サラリーマンで不動産投資に成功するには、基本的な知識を身に付け、長期的な安定収入を期待できる不動産や信頼できる管理会社を選ぶことが大切です。
サラリーマンが不動産投資で得られる7つのメリット

「サラリーマンが不動産投資」と聞いて、家賃収入を得られることを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、資産を増やすことだけが目的なら、不動産投資より株式投資や投資信託などの金融商品の方がメリットが大きい場合もあります。
それでも、不動産投資をするサラリーマンが増えているのは、不動産投資に他の金融商品にはない特徴があり、資産を増やすこと以外にもたくさんのメリットがあるからです。
ここでは、不動産投資をする際にサラリーマンだからこそ得られるメリットについて紹介します。
- サラリーマンは融資を引き出しやすい
- 長期的な安定収入が得られる
- 老後の年金代わりになる
- 基本的に自己資金で借入金を返済する必要がない
- 節税対策として不動産投資を行える
- 生命保険の代わりになる
- 不動産投資はインフレにも強い
サラリーマンは融資を引き出しやすい
サラリーマンが不動産投資をする場合、多くの人は銀行から融資を受けることになるでしょう。
サラリーマンは銀行融資的に安定しているとみなされやすく、特に勤続年数が長い人は高い評価を得られます。
大手上場企業のサラリーマンや公務員は、最も信用があるといってもいいでしょう。そのため、不動産融資も受けやすいです。
融資の際、サラリーマンの小規模不動産投資程度ならば、失敗しても給料という安定収入で返済可能であり、とりっぱぐれの可能性が低いだろうという、銀行の裏勘定があることも忘れてはいけません。
長期的な安定収入が得られる
所有する投資用不動産に入居者がいれば、毎月家賃収入が得られ、長期的な安定収入が見込めます。
株式投資の収益の一つは配当金ですが、配当金は年1,2回のことが多く、業績によってはなくなることもあります。投資信託は毎月分配型もありますが、元本を取り崩して分配金が支払われることもあるというデメリットがあります。
これに対して、不動産投資は、空室のリスクはありますが、立地のよい物件を選ぶことでリスクを抑え、滞納については、滞納保証がある管理会社を選ぶことでリスク回避することができます。
老後の年金代わりになる
厚生労働省によると、平均的な収入の夫婦の年金額は、月額22万1,277円となっています。
貯蓄額や住んでいる地域によっては、この額では不安という場合もあるでしょう。こんな場合に、長期的な安定収入が期待できる不動産投資をしていると、老後も豊かな生活を送れる可能性が高まります。
築年数が浅い不動産を選べば、長期的な安定収入が見込め、老後の生活費を補てんすることができるのです。
基本的に自己資金で借入金を返済する必要がない
株式投資や投資信託などの金融商品にはあまりない特徴として、不動産投資は金融機関からの融資を利用して、レバレッジをかけた投資ができます。
不動産投資には、数千万円から数億円の資金が必要になることが多いです。サラリーマンが簡単に用意できる金額ではありませんが、金融機関の融資を利用できれば、それほど自己資金がなくても、不動産投資を始めることができます。
借入金の返済も、毎月の家賃収入をあてられるので、基本的に自己資金で返済する必要はありません。返済額によっては、家賃収入の方が多い場合もあり、その差額は利益として手元に残ります。
空室が発生すると、家賃収入が得られないので、自己資金で返済しなければなりませんが、比較的少ない資金で大きな資産を作られることは、不動産投資の最大のメリットと言えます。
節税対策として不動産投資を行える
不動産投資をしていると、所得税や住民税の節税ができる場合もあります。
不動産投資で得た利益や損失は、不動産所得として確定申告する必要があるのですが、サラリーマンの場合、所得税を計算する際に不動産所得と給与所得は損益通算できます。
例えば、給与所得が500万円のサラリーマンの場合、500万円に税率をかけて所得税を計算すると思います。しかし、もし不動産所得で100万円の損失があった場合、課税所得は「500万円-100万円=400万円」になるので、所得税が少なくなります。ちなみに、不動産所得は「総収入金額-必要経費」ですから、必要経費が多くなれば多くなるほど不動産所得は少なくなり、納めるべき税金も少なくなります。
また、不動産所得を計算するときは、現金の支出をともなわない減価償却費を経費にできることもポイントです。
減価償却費とは、長期間にわたり利用する資産を購入した場合、その購入金額をいったん資産として計上した後、該当金額が資産の耐用年数にわたって規則的に費用として配分される金額のことです。
例えば、1,000万円の物件を購入し、法定残存耐用年数が20年の場合、1,000万円÷20年で毎年50万円ずつ、減価償却費として、経費に計上することができます。この場合、現金の支出はないにも関わらず、20年間は毎年減価償却費を50万円計上して課税所得を減らすことができ、所得税の節税になります。
所得税の対象になる所得を減らすことができれば、自ずと住民税も減額されるため、住民税の節税にもなりますね。
この他にも、投資用不動産として不動産を保有していると現金や有価証券より、相続した時の評価額が低くなることが多いので、相続税を節税できる可能性もありますよ。
生命保険の代わりになる
不動産投資をする際に、金融機関から融資を受けた場合は、一般的に”もしもの時”に備えて団体信用生命保険に加入します。
団体信用生命保険は、契約者が死亡または高度障害になった場合に借入金の返済が免除され、家賃収入が手元に残ります。
つまり、収入を支えている契約者が亡くなっても、残された家族は家賃収入を生活費として補えるのです。
不動産投資はインフレにも強い
不動産投資はインフレ対策にも有効です。
インフレとは、インフレーションの略で、物やサービスの価格が上昇していくことです。インフレが続くと、現金で資産を保有していた場合、資産が目減りしていく危険性があります。
もし、投資用不動産を所有していると、不動産価格や賃貸料は物価に連動する傾向があるため、不動産価格や賃貸料も上昇すると考えられます。ただし、入居者の収入も同様に上がらなければ、生活が苦しくなりますので、インフレだからといってむやみに賃貸料を上げるのは、避けましょう。
インフレ対策として不動産投資をするのであれば、インフレでも入居者の収入が上がり、不動産価格や賃貸料も上昇するような地域の不動産に投資しましょう。
サラリーマンが不動産投資をする際に覚えておくべきデメリット


不動産投資におていは、次の計算式がプラスでなければなりません。
不動産収益=総収入-必要経費
必要経費には、諸経費に加え、ローンの返済額、税金、修繕費等の積立金があります。これらを総収入から差し引いて残った不動産収益がマイナスならば、毎月毎月、不動産投資のために給料や貯金から補てんすることになります。
こうなっては、不動産投資をしている意味がありませんね。どのような場合に不動産収益がマイナスになり、赤字になってしまうのか、サラリーマンが不動産投資をする際に気をつけるべきポイントを押さえておきましょう。
サラリーマンが不動産投資する際に考えられるリスクは、主に3つあります。
- 不動産の入居率に対するリスク
- ローン金利の上昇に対するリスク
- 不動産が売れないというリスク
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
不動産の入居率に対するリスク
不動産投資の収入は賃貸料や不動産の売却益です。マンションやアパートを貸し出した際に、空室が出てしまうと、それだけ収入は減ることになります。
入居希望者が多い人気のエリアや不動産であれば、満室になる可能性は高いですが、もともと需要が低い地域であれば、空室が出てしまい、予想通りの収入が得られない場合もあります。
また、物件はどんどん古くなっていくものです。新築当初は人気が出やすいですが、5年、10年と経つと話は変わってきます。競合の新築アパ-トや新築マンションができて、賃料を下げなければならない、なんて状況もよくあります。
ローン金利の上昇に対するリスク
サラリーマンで不動産投資をする人が増えている一つの理由として、低金利があります。
金利がここ1~2年で急上昇するという可能性は低いですが、不動産投資のローンは10年、20年で組むことが多いです。
不動産投資ローンを変動金利で組んだ場合、金利が上昇した際に大きな影響を受けます。つまり、金利が上がると、先ほど紹介した「不動産収益=総収入ー必要経費」のうち、必要経費のローンの返済額が上がり、損益分岐点を押し上げてしまいます。
収入よりも支出が多い状況が、短期間で済むなら、持ちこたえることも可能かもしれません。しかし、複数棟のアパートを保有している場合などは、マイナスをサラリーマンの収入ではカバーできなくなり、破産してしまうこともあるでしょう。
不動産が売れないというリスク
サラリーマンの収入で不動産投資の赤字を補てんできなくなったら、売ればいいじゃないかと考える人もいるかもしれませんね。
しかし、不動産は株のように簡単に売ることができません。
都心などの需要が高い好立地にある不動産なら、まだ救いがありますが、郊外や地方の不動産だと売却できるまでに時間がかかることがほとんどです。早く売りたいと焦ると、足元を見られることもあるので、どこまでの赤字なら耐えられるか、しっかりとシミュレーションをしましょう。
さらに、不動産は買い手がついても売ることができない場合もあります。
不動産の売却価格がローンの残債よりも低い場合、銀行が抵当権を外してくれません。
こうなった場合は、不動産の売却価格とローン残債の差額分を一括で銀行に返済する必要があり、それが出来ない場合は、所有中の不動産を売ることができないので、赤字物件を所有し続けなければなりません。
サラリーマンが不動産投資で失敗しないためのコツ


サラリーマンが不動産投資をする際に気をつけるべきポイントを紹介しましたが、これらのリスクを最小限に抑えるために重要になってくるのが、運用のシミュレーションです。
不動産投資を管理会社を通して行う場合は、事業計画書が提示されると思いますが、この事業計画書を鵜呑みにしないようにしましょう。
一つ一つの数字をしっかりと確認し、本当に妥当な内容なのかを精査する必要があります。
サラリーマンで不動産投資に失敗する最大の原因!表面利回りに注意
不動産投資における表面利回りは、次の計算式で算出されます。
表面利回りは不動産投資をするか判断する重要な指標ですが、実際に表面利回り通りの収入を得られることはないと考えましょう。さらに、業者によっては、水増しして表面利回りを算出している場合もあります。
例えば、表面利回りを算出する際に、建築費の消費税や外構・地盤工事代、諸経費などを抜いて、購入価格を実際より低くすることで、見かけの利回りを提示してくる業者もいます。
そうなると、当然、事業計画書に掲載されている表面利回りは、満室時の年間家賃収入を実際にかかった物件購入費用で割った時よりも、高くなります。
収支シミュレーションが楽観的でないか注意が必要!
収支シミュレーションが楽観的になっていないか、しっかりとチェックしましょう。
銀行が入居率を80%ぐらいのストレスをかけて、シミュレーションするような不動産の場合、もし事業計画書の入居率を長期間90%以上の高比率で計算しているならば、実際には大赤字になる可能性があります。
競合や相場を加味した賃料になっているか?
さらに、家賃や家賃の下落幅もきちんと競合や相場を加味しているか押さえておきましょう。例えば、不動産購入時点で、5万円台の類似する築浅物件の空室がゴロゴロあるような地域で、20年後でも5万円台の家賃を想定しているようでは、当然戦えません。
家賃下落幅も通常、年率1~2%の下落が見込まれますが、1%以下で計算しているようではかなり甘いシミュレーションになります。
また、大規模修繕費や広告費が盛り込まれていないのは論外で、年間の原状回復費が極端に少ない金額に設定されているのも問題です。基本的に不動産は、築年数が経つにつれて、外壁塗装や水回り、配管などの改修の必要性が高まり、それだけ費用がかかります。
不動産投資をする際には、事業計画書の数字が本当に妥当なものか、実際に自分でしっかりと確認することは必須です。管理会社に丸投げしたら、まず失敗するというくらいにシビアに考えて判断をしましょう。
まとめ:サラリーマンも不動産投資を上手くすれば、資産形成に大いに役立つ!
現在、日本の人口が減少しており、空室が増加しているというニュースも報道されており、「これから不動産投資をすべきか?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
確かに、供給過剰になれば価格の下落は起こりますので、日本において不動産へ過剰な投資をするのは、一種の賭けと言えるでしょう。
サラリーマンが不動産投資をするための必須条件
日本の不動産に投資することは、確かに賭けな一面もありますが、成功すれば長期的に安定収入を得られます。
不動産の管理は、管理会社などに任せることもできるので、サラリーマンとしての本業があっても、副業として続けやすく、老後の心配も少なくなるので、魅力的ですよね。それに、今は低金利という追い風も吹いています。
そこで、最後に、今後サラリーマンが不動産投資する際に最低でも押さえておくべきポイントを紹介します。
- 不動産が好きであること
- 数字をしっかりと読めること
- 社会情勢から未来をある程度予測できること
1番目は心意気のようなものですが、2番目と3番目は訓練すれば、多くの人が身に付けることができる能力です。
不動産投資は融資を活かして、少ない資金から始めることができる投資です。不動産投資についてしっかりと基礎知識を学んだうえで、チャレンジすれば大きな資産を築くことも夢ではないでしょう。