要注意!「アパート経営は節税できる」という誘い文句は本当なのか徹底解説

特に工夫をしない限り、節税対策がないサラリーマンにとって、節税効果が見込めるアパート経営はとても魅力的に感じるでしょう。

ただ、節税を目的としてアパート経営を始めることはおすすめしません。

なぜなら、節税できるアパート経営というのは、健全な状態にないということが多いからです。

「どういうこと?」と思った方は、本記事でアパート経営における節税のからくりを詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

「アパート経営は節税になる」には要注意!

誘い文句

初めに言ってしまうと、アパート経営で節税になるというのは、そのアパート経営で損失が出ていることの証拠です。

どういうことかと言うと、サラリーマンの場合、給与所得と不動産収入の損失を通算することで節税をするからです。

これを「損益通算」と言いますが、一時的に損失が出て、損益通算した結果、節税できるというのは問題ありません。ただ、ずっとその状態が続くというのは、赤字が続くということなので、健全な状態ではないということはご理解いただけると思います。

アパート経営は節税より利益を上げることを目標に!

アパート経営は固定費がかかりますが、他のビジネスと比べて基本的に利益率の高い事業です。

アパート経営を始める際には、まず利益をあげることを目標にしましょう。アパート経営における利益を考える指標としてはいくつかありますが、その一つにNOIがあります。

NOIとは「Net Operating Income」の略で、実質的な収入という意味で、NOIを表す計算式は次の通りです。

NOI=総収入-総費用

NOIを算出するためには、賃料や駐車場収入などを合計した総収入と、そこから差し引く総費用が必要です。

総費用とは次のようなものがあります。

費用項目内容
土地固定資産税固定資産税納税通知書に記載されている記載されている課税標準額の1.4%をかけたものが課税される。アパートの土地は小規模住宅の特例が適用される。
土地都市計画税固定資産税納税通知書に記載されている課税標準額に0.3%をかけたものが課税される。東京23区内の場合は、さらに2分の1になる
建物固定資産税固定資産税納税通知書に記載されている課税標準額に1.4%をかけたものが課税される。
建物都市計画税固定資産税納税通知書に記載されている課税標準額に0.3%をかけたものが課税される。
BMコスト共用部の日常清掃や設備の定期点検費用等
水道光熱費廊下等の共用部の電気代、植栽の散水等にかかるコスト
維持修繕費一か所あたり20万円未満を目安とする修繕費
PMフィーアパート管理会社へ毎月支払う管理料。賃料収入の3%~5%が目安
建物保険料建物の火災保険料
入居者募集費用空室を埋めるための仲介手数料。別途ADと呼ばれる広告宣伝費を支払うこともある。
原状回復費用建物の通常使用部分による経年劣化部分は、建物所有者の費用負担で原状回復を行う。

これらの費用項目は合算すると、賃料収入の15%~25%が一般的で、高くても30%程度に収まるようにします。

そのため、NOIで見た時のアパート経営の利益率は70%程度で、非常に良いものになります。

実際のキャッシュフローは、ここから減価償却費を引いた利益に対してかける税金を引いたものになります。

もちろん、借入金があればさらにローン返済額を引いたものになるので、NOIほどには高利益率とはなりません。けれど、借入金の額が小さければ小さいほど、アパート経営では利益を出しやすくなります。

ここで出てきた減価償却費ですが、これは節税対策になるので、後ほど詳しく説明します。

個人でアパート経営する際に節税対策になる経費

経費

個人のアパート経営者がキャッシュフローを良くするには、不動産収入から費用として差し引くことができる経費のことも押さえておくといいでしょう。

これらを負担した方がキャッシュフローが良くなる場合は、管理会社などに委託せず、できる限り自分で管理するようにしてください。

個人のアパート経営者が負担して節税対策になる経費一覧

個人でアパート経営すると、物件管理で直接発生する費用以外に、次のような経費がその他諸経費として計上することを認められます。

  • 返済利子:借入金の返済に伴う利息。借入金の元本返済部分は経費に含まない。
  • 交通費:物件の確認や不動産会社との打合せに行くための交通費等
  • 通信費:物件管理等のために不動産会社と電話した際にかかった通信費
  • 新聞図書費:不動産に関する業界専門誌や業界新聞の購読費用
  • 接待交際費:不動産会社との打合せの飲食費等
  • 消耗品費:アパート経営に関する印刷物を印刷した紙代等
  • その他税理士に依頼した費用:確定申告を税理士に依頼した場合の費用
  

ちなみに、アパート経営においてその他諸経費に認められる経費は範囲がとても狭いです。

個人事業主が生活費のあらゆるものを経費として計上しているケースがありますが、不動産所得に関しては、そのような経費の使い方は認められません。

アパート経営における節税は赤字経営でOK?

赤字経営

アパート経営に限らず、経営をする人にとって収支は黒字のほうがいいですよね。アパート経営で節税できるということは収支が赤字ということです。

先ほども、これは歓迎すべきことではないと書きましたが、減価償却費というものを加味すると、必ずしも憂うことではありません。

アパート経営の節税効果は減価償却費を上手く使おう

減価償却とは、建物などの有形固定資産を取得した際に、その原価を、資産が使用できる各会計期間に、あらかじめ定められた一定の計画に基づいて、計画的かつ規則的に配分し、同額だけ資産の価額を減少させていく手続きのことです。

ちょっと難しいですね。

平たく言うと、建築費が2,000万円かかったアパートが、30年後も2,000万円の価値があるとは常識的に考えにくいです。

ですから、この建築費2,000万円は費用としてではなく、一旦資産として計上し、定められた耐用年数に合わせて、減っていく資産の額を毎年費用として計上することにしたのが、減価償却費になります。

つまり、初年度は建築費という実際のお金が出ますが、会計上は初年度分の減価償却費となります。そして、2年目以降は実際のお金は出ませんが、減価償却費が費用として計上されるのです。

これらを踏まえると、アパート経営ににおけるキャッシュフローを計算するには、以下のように3つの段階を踏む必要があります。

  1. 税引き前利益=NOI-その他諸経費(個人の場合)-減価償却費
  2. 税引き後利益=税引き前利益-税金
  3. キャッシュフロー=税引き後利益+減価償却費-返済元本

①の式では、課税対象となる利益を算出します。ここで、減価償却費が大きくNOIを上回ることで利益が赤字になると、それが課税対象になるので税金を抑えることができます。

ただし、減価償却費は実際に出ていったお金ではないので、③のキャッシュフローを計算する計算式では、再び税引き後の利益にプラスして考えます。

つまり、税引き後の利益が赤字でもキャッシュフローが黒字なら、そのアパート経営は上手くいっているというわけです。

ただ、他の不動産にも投資をするために融資を受けたい人にとっては、会計上とはいえ、赤字が出ると次の融資を受けにくくなるのではないかと心配になる人もいますよね。

仮に、税引き後の利益が赤字でも、キャッシュフローが黒字なら金融機関から融資を受ける際のハンデにはなりません

なぜなら、銀行は貸したお金が何年で返ってくるかをみています。減価償却費は実際に出ていくお金ではないので、銀行はプラスとして見てくれるのです。

従って、減価償却費を増やして、仮に会計上の利益が赤字になっても銀行からの評価は下がりません

ただ、借入金額が大きくても減価償却費は大きくなります。借入金が大きいと返済利子や返済元本も大きくなるので、キャッシュフローが赤字になることがあります。

こうならないためには、自己資金を少しでも多く用意することです。つまり、キャッシュフローが健全で節税対策にもなるアパート経営をしたいなら、自己資金をたくさん用意することが大切だと言えるでしょう。

なお、自己資金を効率的に捻出する方法については、「最低300万円?不動産投資で必要な自己資金の相場やお金を捻出する方法を解説」の記事で詳しく解説しているので、良ければ参考にしてみてください。

サラリーマンがアパート経営で節税できる理由

サラリーマン

アパート経営において好ましいのは、アパートの賃貸収入から諸経費や税金、ローン返済額を引いたキャッシュフローが黒字であることです。

そうでなければ、いくら節税できても実際のお金が足りないという状態なので、これはかなり不健康な経営状態と言えるでしょう。

ただ、サラリーマンの場合は、不動産所得と給与所得を損益通算することができます。その結果、給与所得の節税対策をすることもできます。

そこで、最後にこの損益通算をした場合の節税に関してお話しします。

サラリーマンがアパート経営で本当に得する節税対策とは?

損益通算とは、各種所得税金額の計算上生じた損失のうち、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することができる制度のことです。

不動産所得が赤字になった場合、損益通算することでサラリーマンは所得税を節税することができます。

損益通算では、確定申告時に給与所得のプラスと不動産所得のマイナスを通算して、給与所得で支払う税金を減らすことができるのです。

ただし、損益通算できるのは不動産所得がマイナスになった場合です。これは、不動産投資で足りなくなったお金を給与所得で補てんしていると考えてもいいでしょう。

損益通算には返済利子は含まれませんが、不動産所得が赤字でも、損益通算した後のキャッシュフローが黒字で、なおかつその額が給与所得を下回らないなら問題はありません。

しかし、それ以外の場合で節税になるようなら、それは実質赤字です。このような節税が継続的に起こるようなら、そのアパート経営は不健全な状態と言わなければならないでしょう。

まとめ:アパート経営で節税!とは安易に考えない

不動産投資をすすめる営業マンなどは、節税になるということを売り文句にしていたりしますが、実際のキャッシュフローが赤字なら節税をしても意味がありません。

健全なアパート経営をしているなら、基本的には節税にならないと考えましょう。

節税は赤字ということ!アパート経営の目的を再検討しよう

アパート経営をするうえで、積極的に節税対策をした方がいいのは初年度くらいです。

初年度は、建物の不動産取得税や登録免許税が発生しますし、全部屋を埋めるために仲介手数料などの入居者募集費用がかかることがあります。これらは経費として計上できます。

さらに、新築時は減価償却費が最も大きくなるので、不動産所得が赤字になりやすいという傾向があります。このような場合は、損益通算をして積極的に節税をした方がいいです。

けれど、節税対策が2年目以降も続くようなら、キャッシュフローが赤字になる可能性が高いです。

節税対策はもとは言えば、キャッシュフローが多くなるようにするためのものです。それがマイナスになるというのは本末転倒ですね。

税金を納めるというのは手取りの収入が減ることなので、歓迎すべきことではないように感じられますが、たくさん税金が納められるということはそれだけ儲けている証拠です。

せっかくアパート経営するなら、節税ばかりを考えるのではなく、大きく儲けることを心がけると良いでしょう。

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2019年2月19日

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